口下手な私は、  

植物だけが私の友達だった    





【口下手な私は、】


つんつん…

つんつん…つんつん……

私は教室の窓辺で咲く花をつつく。
そうして考えるのだ。
貴方の心を奪う方法を。

廊下ですれ違うだけでドキドキする。
同じ教室にいるだけで喋れなくなる。

ネクラで口べたな私。
明るくてよく話す貴方。

こんな対照的なふたりが結ばれても、
どうしようもないことはわかっている。
でも、私は想いを伝えたい。
私でも出来る方法はあるのだろうか。

折しも、季節はバレンタイン。
手作りチョコのひとつでも渡して告白すればいいのだろうけれど。

ムリっ
絶対にムリっ

シュミレーションしたら、泣きそうになった。

明日また考えよう…

そうして私は教室を後にした。

しかし翌日。
私がいつもの窓辺で見たのは、
『なめこ栽培キット』と書かれた鉢植えで。

私のお花ちゃんはどこにいったの?
それに『なめこ』って書いてあるけど、
どう見ても…しめじだよね……?

ツッコミどころ満載の『なめこ栽培キット』を眺めていると、
後ろから声をかけらた。

「彼女から貰ったんだけど、どうしたらいいのかわからなくてさ。
おまえ、そーゆーの得意だろ。まかせるよ」

貴方は気軽に言うけれど。
私は謎のなめこを任されたことよりも、
貴方に「彼女」がいるということが気がかりで。
でも、聞けない。
絶対に聞けない。

こくん…

黙って頷いて、
なめこをつつき始める。

つんつん…

つんつん…つんつん……





私、ふられたんだわ。





執筆:2012年頃
初出:即興小説トレーニング
掲載:2013.06.21